移管指針第9号「金融商品会計に関する実務指針」の改正の概要及び実務上の留意点
株式会社三井住友銀行 財務企画部 上席推進役
企業会計基準委員会 金融商品専門委員会 専門委員 黒田 康平
企業会計基準委員会(以下「ASBJ」という。)は、昨年9月に、移管指針第9号「金融商品会計に関する実務指針」(以下「金融商品実務指針」という。)の改正案を公表し、上場企業等が保有するベンチャーキャピタル(以下「VC」という。) ファンドの出資持分に係る会計上の取扱いの改正を提案した。具体的には、VCファンドの主な出資形態である組合等に関し、その構成資産である市場価格のない株式について時価評価していること等を前提に、企業が任意で指定した組合等については、時価で評価されたファンドの財務諸表を基礎として、評価差額の持分相当額を純資産の部のその他有価証券評価差額金に計上することになる ① 。その後、改正案に寄せられたコメントへの対応を検討した上で、本年3月に金融商品実務指針の改正を公表した。本稿では、改正案に寄せられたコメントへの対応と本改正への実務上の対応の留意点を中心に解説する。なお、本稿は筆者の私見であり、筆者が所属する組織の見解を示すものではないことを、あらかじめ申し添える。
1.金融商品実務指針の改正の概要等
企業が投資する組合等への出資の評価に関し②、企業会計基準第10号「金融商...
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