改正移管指針第9号「金融商品会計に関する実務指針」の概要
企業会計基準委員会 専門研究員 山本 智恵
1.はじめに
企業会計基準委員会(以下「当委員会」という。)は、2025年3月11日に改正移管指針第9号「金融商品会計に関する実務指針」(以下「本実務指針」という。)を公表した ① 。本稿では、本実務指針における改正の概要を紹介する。
なお、文中の意見に関する部分は筆者の私見であり、当委員会の見解を示すものではないことをあらかじめ申し添える。
2.本実務指針公表の経緯
我が国においては、企業が投資する組合等への出資の評価に関して、当該組合等の構成資産が金融資産に該当する場合には 企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」 (以下「金融商品会計基準」という。)に従って評価し、当該組合等への出資者である企業の会計処理の基礎とするとされている(本実務指針第132項 ② )。この点、金融商品会計基準では、市場価格のない株式について取得原価をもって貸借対照表価額とする(金融商品会計基準 第19項 )とされているため、企業が投資する組合等の構成資産が市場価格のない株式である場合、これらについても取得原価で評価することとなる。
当該定めに関して、近年、ファンドに非上場株式を組み入れた金融商品が増加しており、これらの非上...
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