<IFRS COLUMN>暖簾に腕押し 第136回 リース(15)
国際会計基準審議会(IASB)前理事 鶯地 隆継
料理人の悩み
超一流アスリートの専属料理人であるA氏には最近ある悩みがあった。それは、アスリートが飽きないような料理を作るには、今の調理道具とは違う種類のものが必要となるという悩みだった。A氏はアスリートとの間で長期間の契約を結んでおり、十分な報酬をいただいているので、そのアスリートのためだけに調理道具一式を新品で揃え、それをアスリートの台所に備え付けてある。当初は、その調理道具だけで問題ないと思っていたのだが、献立を飽きないように工夫するためには、料理に応じて違う調理道具を使わなければならない場合がある。
そこでA氏は自分の経営するレストランに備え付けてある調理道具とアスリートの台所に備え付けてある調理道具を時々入れ替えることにした。また、必要に応じて古いタイプの調理道具を新しいものに買い替えたりした。そのような工夫をして、A氏は常にアスリートが満足する食事を提供している。
さて、このような状況で、A氏が使用している調理道具がアスリートに対するリースなのかどうかを議論する必要があるだろうか。
A氏がアスリートに対して提供しているのは、アスリートが最高のパフォーマンスを発揮できるような栄養バラ...
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