会計基準の長い日々 第14回 商法改正と初めての基準開発
公認会計士 西川 郁生
最初のテーマ~自己株式取得の自由化~
企業会計審議会で議論している固定資産の減損会計基準と企業結合会計基準について、ASBJが開発を行わないことは既に述べたとおりである。ただし、それらの基準が公表された後に関連する適用指針の開発を行うことが想定された。審議会は実務指針を作成したことがなかったし、ASBJ以外に依頼先があるとは思えなかった。しかし上記2基準の進捗を考えると、それらの適用指針がASBJの最初のテーマになる可能性はほとんどなかった。
最初のテーマが決まったのは9月上旬である。ASBJで第1回委員会が開かれる直前の2001年7月下旬、金融庁企業会計審議会企画調整部会が開かれた。企画調整部会は、その前年から審議会の部会として開催されるようになったものである。斎藤委員長と私も出席していた。そこで商法改正に伴う自己株式の売買の原則自由化が取り上げられた。原田晃治法務省民事法制管理官から経緯、意義、明らかにすべき会計上の扱いなどについて詳細な説明があった。私は米国における自己株式の会計処理について事務局から事前に発言を求められていたので、1枚紙を用意して簡単に話をした。要は、自己株式は資本...
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