新規上場時の会計不正事例を踏まえた取引所の対応

日本取引所自主規制法人 上場審査部 総務グループ 課長 黒田佳奈絵

( 12頁)

Ⅰ はじめに

2025年12月12日、株式会社東京証券取引所(以下「東証」)および日本取引所自主規制法人(以下「当法人」)は、株式会社オルツ(以下「オルツ」)を含む複数の宣誓書違反事例の発生を受け、「新規上場時の会計不正事例を踏まえた取引所の対応について」(以下「対応策」)を公表した(図表1)。本対応策は、IPO連携会議における主幹事証券会社および監査法人との議論を基礎として取りまとめたものである。

本稿では、対応策の概要について、公表までの経緯および上場審査実務における変更点を踏まえて解説する。なお、本稿で示す見解は筆者個人のものであり、所属組織の公式見解を示すものではない。

【図表1】新規上場時の会計不正事例を踏まえた取引所の対応

1.不正リスクに応じた上場審査・循環取引等の発生リスクを踏まえ、代理店の利用比率が高いビジネスモデルにおいては実質的な仕入先・販売先の状況等を確認 ※上場申請時の提出書類において主要な実質的な仕入先・販売先の会社概要等の記載項目を追加 ※今後も不正リスクの高いビジネスモデルを認識した場合は同様の対応を実施・上場準備期間に監査法人が交代している場合、前任者に対する...