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月刊「国際税務」創刊40周年記念解説 経済のデジタル化とBEPS対処 <2>

国税庁 調査査察部 調査課長 古川 勇人

( 36頁)

経済のデジタル化とBEPS対処の第2回目です。今月号では,「利益A」課税について解説いただきます。

(編集部)

1.現行のBEPS対処 5月号
2.「利益A」課税 今月号
3.IIR課税
4.今後のBEPS対処

2 「利益A」課税

「利益A」課税についての考え方は,上記1「現行のBEPS対処」を踏まえ,以下のように整理できる 20(図表3)

図表3

2-1 基本的な整理

2-1-1 問題意識

「BEPS包摂的枠組」が,「利益A」課税の「青写真」を提示するに当たり有する問題意識は,次のように要約できる (本文末,別紙1)

  • ① 経済のデジタル化の下,一部の国際的な企業グループが高収益となっており,その要因として企業グループと消費者等との関係 21 があるものの,現行制度では,このことが市場国での課税ベースに反映されない。
  • ② これは,各国間での課税ベースの公平性,また,企業グループ間の税負担の公平性を損なうものである 22
  • 2-1-2 課税の根拠・考え方

    上記から,「利益A」課税は,課税の根拠を企業グループの高収益性の要因としての「関係」とし,企業グループの利益のうち「関係」に帰せられる部分は市場国での課税ベースとなるべきと...