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[全文公開] domestic news OECD 基礎的販売活動等の簡素なALPに係る利益Bの報告書を公表

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OECDは 2月19日のニュースリリース の中で、基礎的マーケティング及び販売活動に対するALPの適用を簡素化・合理したアプローチを提供する 「利益B(Amount B)」 に関する報告書と、その概要を紹介する Readerʼs guide を公表した(なお、 国税庁HP で、同ニュースリリースの仮訳も公表されている)。報告書の中では、いくつかの点についてインドからの留保等も含まれているが、今後、さらに議論・作業を行った上、利益Bの内容はOECDの移転価格ガイドラインに、近日中に組み込まれることが予定されている。

なお、利益Bの内容が移転価格ガイドラインに追加されることに伴い、OECDモデル租税条約第25条に関するコメンタリーについても、今後、関連する改訂が行われる予定である。

■利益Bは2025年1月以降に各国で選択適用

利益Bは、各国においてそれを適用するかどうか選択できることが報告書の中で示されている。利益Bを各国が実装する場合に、選択することができる2つの方法として、①居住企業がセーフハーバーとして適用することができる方式、もしくは、②居住企業・税務当局に適用を要求する(義務的に適用する)方式が示されている。

なお、同制度は、2025年1月1日以後に開始する事業年度から、各国において選択適用することができる。

■利益Bに係る対象取引、利益率の決定方法等を示す

今回公表された利益Bの報告書は、用語の定義(Definitions)、1.導入(Introduction)、2.簡素化および合理化されたアプローチの適用に関する考慮事項(Considerations regarding the application of the simplified and streamlined approach)、3.対象となる取引(Transactions in scope)、4.対象取引の最も適切な原則方法の適用(Application of the most appropriate method principle to in-scope transactions)、5.簡素化・合理化されたアプローチによる利益の決定(Determining the return under the simplified and streamlined approach)、6.文書化(Documentation)、7.移行期の問題(Transitional issues)、8.税の安定性と二重課税の排除(Tax certainty and elimination of double taxation)の章や、いくつかの適用事例などから構成されており、例えば、上記3.では、どのような取引が利益Bの対象となるのかについて、5.では、価格マトリックス等に基づいて利益Bにおける利益率を決定していくプロセス・方法などに係る内容が示されている。

なお、利益Bの報告書について、詳しくは今号の Worldwide Tax Summary4ページ もご覧下さい。