2019/08/28 19:30
10月1日の消費税改正まであと1ヵ月少々となりました。
10月以降の仕入れ商品に対する仕入税額控除には、請求書やレシート兼請求書にその商品が軽減税率対象商品であることの記載等が必要とされます。これに合わせて政府では、中小小売店を対象にした複数税率対応レジスターへの切り替えとそれに対する助成金の利用を勧めるCMを盛んに流しています。
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しかし、レジの改修が10月1日に間に合わないケースもかなり出そうな状況です。では、複数税率に対応していないレジを使う店で買った商品は仕入税額控除ができないのでしょうか?
今回もA君の素朴な疑問から始まります。
A 「Bさん、この前ネットのニュースで見たんですが、複数税率に対応したレジ改修が間に合わない店がたくさん出てきそうなんですって?」
B 「そうだね。これまでは店側も『また税率引き上げが先延ばしされるんじゃないか?』なんて疑ってた人も多かったというのもあるし、補助金が出るとは言っても、レジの改修自体はそれが儲けに直結するわけでもないからね」
A 「でも、例えばわが社で会議用の缶コーヒーやお茶を個人商店で買ったとしたら、レシート兼領収書に軽減税率対象と書いていないと仕入税額控除ができなくなってしまうんですよね?」
B 「原則的にはね」
A 「・・・相変わらず含みのある言い方ですね。原則的にダメということは裏を返せば『軽減税率に非対応のレジを使う店で食べ物を買っても仕入税額控除ができるケースがある』ってことですか」
B 「(だいぶ思考パターンが読まれてきたな・・・)ああ、実は今度の10月1日から、正式なインボイスが導入される2023年9月末までの間に限っては、条件次第で仕入税額控除ができることになっているんだよ。この話のようにレシートと兼用のモノも含めて、領収書に対象物が軽減税率対象であること等が記載されていない場合でもね。さて、その条件とは?」
A 「僕はクイズ王じゃないんだから、そんなのわかりませんよ」
B 「これはあまり大々的に宣伝されていないんだけど、今回の消費税法改正では、今回のような事態を想定して『追記』という方法が認められているんだよ」
A 「ついき、ですか?」
B 「そう、読んで字のごとく、追いかけて記す。簡単に言えば、最初はなかったものを後から付け加えるってことだね」
A 「待ってくださいよ、ペットボトルのお茶を買ったけど、レシート兼領収書には軽減税率対象とは書いてなかった。それを、なんですか、その場で店の人に『これは軽減税率対象です』とか書いてもらうってことですか?」
B 「そんなことをわざわざしてくれる店があったら君としては楽だろうなぁ」
A 「えっ、それじゃあまさか、モノを買った私...というか会社のほうで『これは軽減税率対象です』なんていちいち、その追記をするんですか!?」
B 「そのとおり。そうすれば、複数税率に対応していないレジの店で買ったものでも仕入税額控除の対象になるんだ」
A 「モノを買った側の人間がひと手間かけて追記をするんですか...。それって面倒ですよね。ちゃんとレジ改修をした店で買ってくださいって経理に言われちゃいますよ」
B 「まあね。こうした事情もあるし、先々のインボイスのことも考えればどうしてもレジの改修は必要になるから『追記』の制度は大々的にはPRされていないんだろうな」
A 「でも、地域によっては得意先への手土産を地元の小さな店で買ったりすることもあるから、そういうときなどはこちらで追記しないといけないことになりますね。また経理にいろいろ言われるなあ」
B 「特に君が関わっていたりするとなおさらだろうね」
A 「・・・」
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【参考】「追記」に関する消費税の軽減税率制度に関する取り扱い通達 (追記の範囲及び内容) 19 改正法附則第34条第2項前段《31年軽減対象資産の譲渡等に係る税率等に関する経過措置》の規定による読み替え前の消費税法第30条第9項第1号《仕入税額控除に係る請求書等》に掲げる書類(以下この項において「請求書等」という。)の交付を受けた事業者が、改正法附則第34条第3項の規定により、当該請求書等に記載された課税資産の譲渡等の事実に基づいて追記することができるのは、次の事項に限られることに留意する。
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