2019/12/04 13:35
非課税と不課税と免税。どれも消費税が課税されないのですが、課税されない理由が違いますし、この区分を間違うと納税額も間違えてしまいます。どのように考えれば良いのでしょうか?
まず基本に立ち戻って、課税取引を見てみましょう。
消費税が課税される取引は、以下の4つの要件を満たすものです。
1.国内において行われる取引
2.事業者が事業として行う取引
3.対価を得て行う取引
4.資産の譲渡、貸付け又は役務の提供
不課税は上記4つの要件に当てはまらないものとなります。例えば外国での宿泊や飲食といった国外での消費、無償での寄付や贈与、出資に対しての配当などは不課税取引になります。
商品の輸出や国際輸送、外国にある事業者に対するサービスの提供などのいわゆる輸出類似取引などが免税取引となります。輸出は資産を引き渡した時点ではその資産は国内にあるため、4つの要件の「1.国内において行われる取引」に該当し、もちろん他の要件も満たすことから本来であれば課税となりますが、内国消費税である消費税は国内での消費に負担を求めるという性格から、外国で消費されるものには課税しないという考えに基づき免税とされています。
本来であれば課税取引となりますが、これらの取引であっても消費に負担を求める税としての性格から課税の対象としてなじまないものや社会政策的配慮から、課税しないとする非課税取引が消費税法上で限定列挙(消費税法第6条第1項、法別表第1)されています。
税の性格上課税対象とならないもの
1.土地の譲渡、貸付け
2.有価証券等の譲渡、支払手段の譲渡
3.利子、保証料、保険料など
4.郵便切手類、印紙、商品券、プリペイドカード等の譲渡
5.住民票の発行や、戸籍抄本の交付等の行政手数料、外国為替業務の手数料
社会政策的配慮に基づくもの
6.社会保険医療などの給付等
7.一定の介護保険サービス、社会福祉事業等によるサービスの提供
8.助産
9.埋葬料、火葬料
10.一定の身体障害者用物品の譲渡、貸付け
11.一定の学校の授業料、入学金等
12.教科書用図書の譲渡
13.住宅の貸付け
このように、そもそも不課税は消費税が課税される要件を満たしていませんが、免税、非課税は要件を満たしているにも関わらず消費税を課税しないとしているところに決定的な違いがあります。
免税と非課税の違いは、課税売上割合の計算式を思い浮かべていただけるとわかりやすいのですが、免税売上高は分子、分母ともに入っています。
これは、免税売上高を課税売上であると考えているからです。そのため、免税取引を0%課税と表現することもあります。売上が全額免税の場合、売上に係る消費税は免除され、仕入れに係る消費税が控除できるため還付を受けることが可能ですが、売上が全額非課税の場合は仕入れに係る消費税は控除できないため、還付は発生しません。
私が書いているブログでアクセス数の多いページが消費税です。国、地方公共団体、公共法人、公益法人等が法令に基づいて徴収する登記、登録、特許、検定や試験の手数料や、外国為替業務に係る役務の提供について課税なのか非課税なのか、不課税なのかを迷われている方が多いようですが、どちらも非課税となります(外国為替業務周辺業務については課税となります)。免税は輸出、輸出類似取引のためわかりやすいのですが、非課税については知らないと間違えてしまいます。国税庁のホームページに掲載されているものや書籍などで確認し、非課税となる取引をある程度頭に入れておいたほうがよいでしょう。
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