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特集 低額譲渡の課税実務

 税理士 若山 寿裕

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はじめに

親族間や同族関係者間での不動産や非上場株式等の取引では、その結果として生じる税負担なども考慮して取引価額が決定されることもよくあり、取引価額の合理性がみなし譲渡やみなし贈与等の課税上の問題として生じることになります。近年、非上場株式等の低額譲渡が争われた事案は、最高裁令和2年3月24日判決を受けて納税者敗訴で結審しましたが、所得税基本通達の不明瞭性も浮き彫りになり、その改正にまで至るなど、大きな話題となりました。

本稿では、時価より低い価額での取引、すなわち低額譲渡の税務について所得税法、法人税法の扱いを中心に取り上げます。

まず、資産の移転に伴う所得税法及び法人税法の基本的な所得計算規定...