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税金裁判の動向【今月のポイント】第238回 納税者が立証できないコンサルタント料の損金算入の可否
青山学院大学法学部 准教授 道下 知子
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課税処分の適法性について、立証責任は、原則として原処分をする側である課税庁が負っていると考えられています。ただし、簿外経費を納税者が主張する場合には、課税庁の主張立証以上に損金が存在することを具体的に主張立証しなければ、課税庁の立証責任が果たされたものと認められるものとされています。それでは、この場合の納税者は、どの程度の主張立証をするべきなのでしょうか。
今回は、契約書の相手先と代金の支払先が帳簿書類と異なるコンサルタント料の損金性が争われ、その判断の際、上記の点が鍵となった判決について紹介しましょう。
事実の概要
土木建築工事の設計施工管理及び請負業務等を営むX社(原告。なお、その代表取締役を以...