※ 記事の内容は発行日時点の情報に基づくものです

事例からみる 名義財産の実務 第5回 現金の帰属認定

東京富士大学大学院 客員教授・税理士 佐藤 繁

( 81頁)

今回は、現金の帰属認定について検証します。

民事上の裁判例を取り上げてから、税務上の裁判例をみていきます。

1 民事裁判における事例

最高裁昭和39年1月24日第二小法廷判決(判時365号26頁)は、「金銭は、特段の場合を除いては、物としての個性を有せず、単なる価値そのものと考えるべきであり、価値は金銭の所在に随伴するものであるから、金銭の所有権者は、特段の事情のないかぎり、その占有者と一致すると解すべきであり、また金銭を現実に支配して占有する者は、それをいかなる理由によって取得したか、またその占有を正当づける権利を有するか否かに拘りなく、価値の帰属者即ち金銭の所有者とみなすべきである」と判示してい...