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事例からみる 名義財産の実務 第7回 名義財産への重加算税賦課 ―重加算税の拡張適用―
東京富士大学大学院 客員教授・税理士 佐藤 繁
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今回は、他人名義財産を除外して相続税の申告を行い、後にそれが否認された場合、どのような場合に重加算税が賦課されるのかをみていきます。
1 重加算税の拡張適用1《最高裁平成7年4月28日判決(民集49巻4号1193頁)》
本事例は、3年間にわたり多額の株式の譲渡による雑所得(昭和60年に2,600万円余、同61年に1億800万円余、同62年には2億1,000万円余の所得がありました。)があったにもかかわらず、税理士にその事実を告げずに確定申告をさせた事例です。納税者は、それ以外に仮装・隠ぺいの行為を行っていません。
最高裁は、本事例について次のとおり判示しました(判決内容がわかりやすいように一部加筆・...