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[全文公開] 家事と併用の高額特定資産

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高額な資産をプライベートで用いることがあるだろう。個人事業主を例に挙げれば,カメラマンにおけるカメラなどが考えられる。このような資産を取得した場合,一定の要件を満たすと,高額特定資産に該当する可能性があるが,事業用と家事用で半分ずつ利用している場合,その該当性はどのように判断するべきか。

基本的には,“課税仕入れ”の考え方がベースとなるようだ。課税仕入れは,「事業者が,事業として他の者から資産を譲り受け,若しくは借り受け,又は役務の提供を受けること」( 消法2 ①十二)と定義されている。つまり, 事業用として の課税仕入れに係る支払対価の額で判定することとなり,家事用部分は判断に加えないこととなる。

高額特定資産は,一の取引の単位につき,課税仕入れに係る支払対価の額(税抜)が1,000万円以上の棚卸資産又は調整対象固定資産とされている。したがって,1,800万円の場合は“900万円部分”が,高額特定資産に該当するのか否かを確認することになるという。高額特定資産の仕入れ等を行うと,納税義務の3年縛りが適用される。そのため,課税期間3年間の課税売上割合の変動が大きく,仕入税額控除が全額控除の場合等,取戻し課税に関する調整計算( 消法33 )を行うことになる可能性が高い。

なお,ここまでの考え方は,調整対象固定資産も同様だ。調整対象固定資産は,棚卸資産以外の資産で100万円以上(税抜)のものとされている。そのため,購入価格180万円のものを事業用と家事用で半分ずつ利用している場合は90万円となるが,この場合は調整対象固定資産にも該当しないという判定だ。