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[全文公開] つみたてNISAと奨励金

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平成29年度税制改正により創設された「つみたてNISA」は,今年で導入2年目。新たな資産形成の手段として関心を集めており,最近では従業員のつみたてNISAの積立金に対し,一部を「奨励金」として支給している企業が見受けられる。

つみたてNISAは,口座開設の年の1月1日において20歳以上の居住者等を対象に,平成30年から令和19年までの間に,非課税口座で取得した一定の投資信託(投資額は年間40万円を上限)について,その収益の分配金や投資信託の譲渡益が最長20年間,非課税となる( 措法9の837の14 )。

金融庁によると,給与天引きによるNISA導入企業約700社のうち,つみたてNISAの積立金に対して奨励金を支給している企業が約半数に上った(大手証券会社3社調べ)。また,個別金融機関へのサンプル調査結果では,つみたてNISAの奨励金の導入企業は全体の84%を従業員100人未満の企業が占めたという。ただ,企業が支給する「奨励金」は,税法上,給与所得として課税対象となる。

つみたてNISAは,同一年分において,NISAと同時利用はできないが,例えば令和元年分はつみたてNISAを選択し,令和2年分はNISAを選択するなど1年ごとに変更することが可能。投資対象商品については,NISAのように上場株式や上場不動産法人の投資口(REIT)を選べず,公募株式投資信託や上場投資信託の受益権(ETF)など個人の財産形成が促進される一定の投資対象商品が内閣府告示で定められている(平成29年内閣府告示第540号)。

企業が今後,従業員に対し「つみたてNISA」への奨励金を支給するケースもあろう。非課税口座の開設については,申込みを受けた金融機関がその情報を税務署にデータ提供する必要がある。個々の金融機関によるが,通常は申込みから1ヵ月程度かかるそうだ。