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[全文公開] 被災代替資産等の特別償却

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このほど,台風19号が著しく異常かつ激甚な非常災害として「特定非常災害」に指定された。特定非常災害によって被害を受けた場合,税制上の特例措置がいくつか設けられているが,そのうちの一つに「被災代替資産等の特別償却」がある。

法人が,特定非常災害発生日(台風19号は令和元年10月10日)から5年以内に,一定の要件を満たした資産の取得等をして,事業供用した年度に特別償却ができるもの( 措法43の3 ①)。

特別償却できる資産は,新品の「建物(建物附属設備含む)又は構築物」,「機械及び装置」で,①面積・用途制限がある「被災代替資産」と,②エリア制限がある「被災区域内供用資産」の2つに分けられる。

①「被災代替資産」については,例えば,食料品会社の製造工場で,台風19号により事業の用に供すことができなくなってしまった場合,浸水により滅失した食料品製造業用の機械に 代わって取得した同一用途のもの などが対象となる。

②「被災区域内供用資産」については,浸水が原因で使えなくなった機械の代わりを取得するだけでなく,浸水した工場の建て直しに伴い,今後の浸水被害を防ぐため,水害対策設備として防水シャッター等を 新たに取得し被災区域等内で事業供用したもの などが対象になるという。

また,これまで工場に備わっていなかった空調設備等といったものを新たに取得する場合であっても,②「被災区域内供用資産」として特別償却の対象となるとのことだ。

なお,特別償却割合は,資産の種類,事業規模,取得時期によって異なり,例えば,発生日から3年以内に建物を取得した中小企業者等の割合は18%となる。