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[全文公開] 簡易課税のみなし仕入率と軽減税率

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令和元年10月1日から消費税の軽減税率制度が導入された。これに伴い,簡易課税制度において,「農業」,「林業」,「漁業」のうち,軽減税率の対象となる飲食料品の譲渡に係る事業区分は「第2種事業」として,みなし仕入率80%が適用されることになっている。同じ飲食品の譲渡に当たる取引でも,同日前後で事業区分,及びみなし仕入率が異なることに留意したい。

消費税法上,前々年の課税売上高が5,000万円以下の場合,事前の届出により実際の課税仕入れ等の税額を計算することなく,課税売上高から仕入税額控除の計算ができる「簡易課税制度」の適用を受けられる。課税売上高に対する税額の「一定割合」を仕入控除税額にでき,この一定割合を「みなし仕入率」という。みなし仕入率は,第1種事業の90%から第6種事業の40%まで分かれている。

農業,林業,漁業に係る売上には本来,第3種事業として70%のみなし仕入率が適用される。しかし,軽減税率が適用される売上の税率は8%の一方,農機具等の仕入れに係る税率は10%であるため,簡易課税制度を適用すると,その実態より仕入控除税額が過少となる。よって,これら事業のうち軽減税率が適用される飲食料品の譲渡に係る売上には,第2種事業の80%のみなし仕入率が適用されることになった(平成28年改正消令附則11の2)。

この見直しは,令和元年10月1日以後の取引が対象となる。例えば,課税期間が暦年の農業事業者による同年9月末までの飲食料品の譲渡に係る売上に対しては,70%のみなし仕入れ率を適用する。一方,同年10月1日以後の飲食料品の譲渡に係る売上に対しては,80%のみなし仕入れ率を適用して控除税額を計算する。