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[全文公開] 個人事業税と代理業

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個人事業税は,個人の行う事業自体に課税されるものであり,税理士業や公認会計士業などといった70の法定業種が課税対象になっている。「代理業」もその一つだ。

「代理業」に該当するか否かは,雇用関係の有無のみで判定されるものではない。たとえ,雇用関係がある場合でも,収入に占める経費のウエイト等を勘案した結果,「代理業」に該当するものと判定されるケースもある。

個人事業税は,毎年,各地方自治体に申告することが基本だが,所得税の確定申告を行った場合には,各自治体への申告は不要となる( 地法72の55の2 )。

税額計算のほか,「代理業」への該当性についても,各自治体が判定するため,例えば,納税者側が「代理業」に該当しないものと思い込んでいても,自治体側が精査した結果,一転して「代理業」に該当するものと判定されるケースも少なくないという。昨年,弊誌が紹介した,東京都における“保険外交員”の運用が記憶に新しいところだ( №3546 ・9頁)。

一般的なサラリーマンのように,会社との雇用関係があれば,「代理業」に該当しないものと考える向きもあるが,例えば,保険外交員について,雇用関係があるにもかかわらず,収入に占める経費(事務所の賃料や販促費等)のウエイト等を勘案し,「代理業」に該当するものと判定された事例もあるとのこと。

自治体側では,所得税の確定申告書等に基づき判定しているため,その確定申告書に添付する“収支内訳書”等を正確に記載しておくことが望ましいという。

なお,東京都では,保険外交員の「代理業」への該当性に関して,平成30年度の行政不服審査会の答申件数が15件(平成29年度は1件)あったのに対し,令和元年度においては大幅に減少しており,一定程度定着してきたようだ。