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[全文公開] 課税の助成金と非課税の助成金

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新型コロナウイルス感染症の影響で,国や自治体から助成金といった名目で金銭(商品券等の経済的利益も含む)が支給されることがあるが,所得税の課税対象になるか否かはその助成金等により異なる。

助成金等の支給根拠の法令等で非課税と規定されるものや,心身又は資産に加えられた損害につき支給される相当の見舞金など所得税法で非課税と規定されるものには,所得税は課されない( 所法9 ①)。雇用保険の失業給付金などの他,「企業主導型ベビーシッター利用者支援事業の特例措置における割引券」は非課税となる( 所法9 ①十七)。住民基本台帳に記録されている者1人につき10万円が支給される,「特別定額給付金」等も非課税だ(新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律4等)。

一方,事業者の収入が減少したことへの補償や,賃金等の支出の補填を目的に支給されるものなど,業務上の取引に関連して支給される助成金等は,事業所得等として課税対象となる。

「小学校休業等対応助成金」,「雇用調整助成金」などは,事業所得等として課税対象となる。また,東京都が一定の事業者に給付する「感染拡大防止協力金」や,「持続化給付金」も課税対象とされている(「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」)。

ただ,事業所得等に係る収入金額に算入されても,収入減で多額の費用・損失があり所得金額が生じなければ,所得税も生じないことになる。