※ 記事の内容は発行日時点の情報に基づくものです

形式上の貸倒れと備忘価額

( 46頁)

新型コロナウイルス感染症の影響による取引先の倒産や取引停止等で,売掛金等の回収ができるか不安な企業も多いだろう。取引先が一定の状況に陥ったことで売掛金等が回収できなくなった場合に,税務上,貸倒損失を計上できる基準がある。そのうちの1つ「形式上の貸倒れ」では,損金経理要件が設定されているほか,備忘価額を付すこととされている。付された備忘価額は,その後「事実上の貸倒れ」の状況となったときに消すことができるという。

「形式上の貸倒れ」とは,貸付金等を除く売掛債権が対象で,継続的な取引を行っていた取引先の資産状況等の悪化で取引が停止し,停止時等から1年以上経過した状況のこと(法基通9-6-3)。一方,「...