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[全文公開] 短期退職手当等と勤続年数の判定方法

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スカウト等を受けて入社した従業員の中には,短期間で役員等に就任する者もいるだろう。この場合,従業員の勤続期間が5年以下であったとしても,役員等の勤続期間も含めて勤続年数が5年超であれば,従業員としての退職金には,これまで通り2分の1課税を適用することができる。

令和3年度改正により,令和4年分以後の所得税から,“役員等以外としての者の勤続年数”が5年以下の者に支給される退職金(短期退職手当等)は,退職所得のメリットである2分の1課税の適用が制限されることとなった( 所法30 ②④, №3653 等)。

短期退職手当等に係る勤続年数は,役員等としての勤続期間も含めてカウントすることとなっている( 所令69の2 ①③)。例えば,令和2年1月に従業員として入社し,令和6年1月に役員に就任,令和7年12月に退職した場合,役員就任までの従業員の勤続期間である4年では判断せず,入社から退職までの6年(5年超)で判断するので,従業員としての退職金は短期退職手当等に該当しない。

仮に,従業員として3年勤務した後,役員に昇進後2年で退任し,その後再び従業員として1年勤務してから退職した場合も,入社から退職までの期間が6年(5年超)であるため,従業員としての退職金は短期退職手当等に該当しない。

一方,上記いずれのケースも役員の勤続期間は2年(5年以下)なので,役員としての退職金は特定役員退職手当等に該当し,2分の1課税が適用できない( 所法30 ②⑤)。

なお,従業員としての地位が存続したまま役員(使用人兼務役員)に昇格した場合,従業員としての地位を失うまでの期間を重複勤続年数とし,退職所得の計算で調整を行うこととなる( 所令71の2 ⑤, №3659 )。