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[全文公開] ひとり親控除と年末調整

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令和2年度税制改正で,人的控除として創設された「ひとり親控除」。毎月の源泉徴収については令和3年1月1日以後に支払うべき給与等から適用された( №3598 等)。年の中途で異動があり,従業員等がひとり親に該当する場合には,年末調整で「ひとり親控除」の適用を受けることが可能だ。

「ひとり親」とは,現に婚姻をしていない者等のうち,①その者と生計を一にする子(その年分の総所得金額等が48万円以下)を有すること,②合計所得金額が500万円(年収6,777,778円)以下であること,③その者と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる一定の者がいないこと(住民票の続柄に「夫(未届)」,「妻(未届)」等の記載がないこと),の要件を満たすものが該当し,ひとり親控除として,その年分の総所得金額等から35万円が控除できる( 所法2 ①三十一, 81所令11の2所規1の4 )。

年の中途でひとり親に該当するケースとしては,例えば,従業員等が夫(又は妻)と離婚して子供をひきとることとなった場合が考えられる。また,新型コロナの影響等による就業機会の減少や給与・残業代の減少等で収入が当初の見積額よりも減り,生計一の子の総所得金額等が48万円以下となったり,本人の合計所得金額が500万円以下となったりする場合もあろう。

年の中途でひとり親に該当した場合,法律上は,その異動を生じた日後最初に給与等の支払を受ける日の前日までに「ひとり親」欄にチェックを入れた「扶養控除等(異動)申告書」を提出する必要がある。ただし,提出を失念していた場合には,その年の最後に給与等の支払を受ける日の前日までに同申告書を提出すれば,年末調整で「ひとり親控除」の適用を受けることが可能ということだ。