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[全文公開] 優良帳簿とシステム改修費

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令和3年度改正により本年1月から開始した改正電子帳簿等保存制度では、電子データの保存対象となる帳簿が、「優良帳簿」と「優良以外の帳簿」に分けられることとなった。この「優良帳簿」に該当することを目的に支出したシステム改修費は、原則として「資本的支出」に該当するという。

「優良帳簿」とは、検索要件などを充足し、届出書を所轄税務署長に事前提出することで、申告漏れに係る過少申告加算税が5%軽減される措置(軽減措置)を適用することができるもの(電帳法8④、電帳規2、5)。事業者は、既存のシステムをバージョンアップ等し、「優良帳簿」に対応するケースがある。

法人税法上、ソフトウエアの改修等を行った場合の費用は、その改修等が“新たな機能の追加、機能の向上等”に該当すると「資本的支出」として資産計上する一方、“プログラムの機能上の障害の除去、現状の効用の維持等”に該当すると「修繕費」として損金算入できる( 法令132法基通7-8-6の2 )。

ただ、消費税法の改正に伴う必要最小限のシステム改修費用は、「修繕費」に該当する。例えば、軽減税率制度の実施に伴いPOSレジシステム等を改修した場合、改修部分が作業指図書等で明確にされていれば、“現状の効用の維持”のために行われるものとして、この費用は「修繕費」に該当することが示されている(国税庁HP「消費税の軽減税率制度の実施に伴うシステム修正費用の取扱いについて」)。

これに対し、「優良帳簿」に該当するためのバージョンアップ等は、対応をしなければ法令順守できないわけではなく、軽減措置が受けられない「優良以外の帳簿」に該当するのであるから、“新たな機能の追加等”として、この費用は「資本的支出」に該当するとのことだ。

なお、令和5年10月開始の消費税インボイス制度の導入に伴うシステム改修も、軽減税率制度の実施と同様に取り扱う( №3550 )。