※ 記事の内容は発行日時点の情報に基づくものです

[全文公開] 圧縮記帳の適用と償却資産税

( 37頁)

国や地方公共団体から交付された補助金を固定資産の取得等に充てた場合には、国庫補助金等の圧縮記帳制度( 法法42 )の適用対象となる。固定資産の圧縮記帳後の金額が30万円未満であれば、中小企業者等の少額減価償却資産の損金算入特例( 措法67の5 )を適用して全額損金算入することも可能だ( №3725 )。ただし、償却資産税については、圧縮記帳前の金額で申告することが必要となる。

地方税法上、償却資産は、土地及び家屋以外の事業の用に供することができる資産等とされているが、いわゆる少額の償却資産は除かれている( 地法341 四、 地令49 )。ここでいう少額の償却資産とは、法人税法施行令に規定する「少額の減価償却資産の取得価額の損金算入制度( 法令133 )」と「一括償却資産の損金算入制度( 法令133の2 ①)」の適用により取得価額の全部又は一部が損金算入される資産等だ。

このように、少額の償却資産の範囲に、圧縮記帳制度を適用した資産は含まれないため、償却資産税では、圧縮記帳前の金額、つまり、取得価額をベースに申告する。

例えば、取得価額50万円の固定資産について、圧縮記帳後の金額が20万円となり、中小企業者等の少額減価償却資産の損金算入特例を適用して全額損金算入したとしても、償却資産税については、圧縮記帳前の取得価額50万円をベースに申告することになる。

なお、前述のとおり、地方税法における少額の償却資産は、法人税法施行令に規定する「少額の減価償却資産の取得価額の損金算入制度」と「一括償却資産の損金算入制度」の適用がある資産等に限られる。そのため、圧縮記帳制度の適用がなく「中小企業者等の少額減価償却資産の損金算入特例」のみを適用して全額損金算入した固定資産についても、少額の償却資産には該当しないことになる。