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[全文公開] 副業収入の所得区分と帳簿書類の範囲

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国税庁が10月に公表した改正所得税基本通達により、副業収入に係る「事業所得」と「雑所得(業務に係る雑所得)」の区分基準が示された( №3724 )。令和4年分以後の所得税から、取引を記録した帳簿書類の保存により営利性や継続性などが認められれば、事業所得に区分される( 所基通35-2 )。

ここでの帳簿書類は、事業所得者等に義務付けられている帳簿書類( 所法232 ①、 所規63102 )と同範囲で、帳簿及び書類の両方を保存する必要がある。ただ、帳簿に関しては、一定の場合であれば、必ずしもノートやエクセル等の状態として保存することまで求められないケースがあるという。

帳簿に記載が求められる取引内容とは、取引の年月日、相手方の名称、金額等で、これらが整然とかつ明瞭に記録されていればよい。副業収入に係る取引の年月日や金額など、帳簿に記帳すべき取引内容が整然とかつ明瞭に記録されたものが存在するのであれば、わざわざノート等に転記して保存することまで求めないとのことだ。

例えば、副業収入が所定の銀行口座に振り込まれる場合、通帳に取引内容が整然とかつ明瞭に記録されていれば、これを帳簿として保存すればよく、同じ内容をノート等に転記しなくてよいという。

一方、例えば、副業として動画配信サービスを行い、広告収入を得ている場合、配信会社によってはサイト上で収益レポート等を表示できる機能がある。ただ、表示される収入が推定金額であることが多く、実際の振込金額とは異なることから、同レポートを帳簿として保存することはできないとのことだ。

なお、帳簿書類の保存があっても自動的に事業所得に区分されるのではなく、収入金額が僅少と認められる場合や、営業活動等に営利性が認められない場合は、個別に事業性を判断することになる。