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[全文公開] 一時帰国者と輸出物品販売場制度

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外国人旅行者向けの消費税の免税制度(輸出物品販売場制度)では、外国人だけでなく、外国に居住し一時的に帰国している日本人も、外為法上の「非居住者」は対象とされていた。令和5年4月1日以後、日本人では、非居住者のうち2年以上外国に居住していることを一定の書類で確認できる者に同制度の対象者が限定されている。

原則、外国人は外為法上の非居住者に当たるが、日本人の場合、外国で勤務し滞在している者や、一時的に帰国し滞在期間が6か月未満の者などが非居住者と扱われる(外為法6、「外国為替法令の解釈及び運用について」6-1-5、6)。これまで免税商品(一定の化粧品等)を販売する免税店では、その購入者が同制度の対象となる非居住者であるかを判定するため、書類の確認等に手間がかかるケースもあったようだ。そこで令和4年度改正により、外国人(日本国籍を有しない者)は非居住者のうち「短期滞在」、「外交」、「公用」の在留資格者等が対象とされた。日本人(日本国籍を有する者)では、非居住者のうち外国に2年以上居住していることが「在留証明」又は「戸籍の附票の写し」により確認された者が対象となっている( 消法8 ①、 消令18 ①、 消規6 ①)。

在留証明、戸籍の附票の写しは、帰国日から6か月前の日以後に作成されたもので、在留証明は「住所又は居所を定めた年月日及び本籍地の地番が記載されたもの」であること、戸籍の附票の写しは「本籍地の地番が記載されたもの」であることが必要だ。在留証明は居住国の日本大使館や総領事館で、戸籍の附票の写しは日本の本籍地のある市区町村で取得でき、免税商品の購入時に書類を免税店に提示する。

なお、免税店は、購入者から書類の写しの提出を受けて保存又は記載情報を国税庁に送信する(輸出物品販売場制度に関するQ&A問149等)。