[全文公開] 贈与税の特例税率と一般税率
暦年課税において、父母や祖父母等の直系尊属から贈与を受けた場合と直系尊属以外から贈与を受けた場合では、110万円の基礎控除後に適用される贈与税率が異なる。
平成27年1月1日以後に直系尊属から受けた贈与は特例贈与財産とされ、贈与税の計算上、特例税率を適用する( 措法70の2の5 )。受贈者の要件は、贈与年の1月1日において18歳以上(令和4年3月31日以前の贈与は20歳以上)とされる。一方、第三者間や兄弟間、夫婦間、親から未成年の子への贈与等は、一般贈与財産として一般税率を適用する( 相法21の7 )。いずれも10%から55%まで8段階の超過累進税率で、基礎控除後の課税価格が300万円超~4,500万円以下の贈与については、一般税率に比べ特例税率の方が低い税率となる。
贈与税の特例として設けられている、①住宅取得等資金贈与( 措法70の2 )、②教育資金贈与(同 70の2の2 )、③結婚・子育て資金贈与(同 70の2の3 )の非課税特例は、いずれも直系尊属からの贈与が対象だ。①は特例による控除を受けた後に贈与残額がある場合には、特例税率で贈与税が課される。②、③では、これまで、受贈者が30歳(③では50歳)に達したこと等により資金管理契約が終了した場合、非課税拠出額から支出額を控除した残額があるときは、受贈者(18歳未満の場合を除く)に対して特例税率で贈与税が課されていた。
しかし、令和5年度改正により、②、③の資金管理契約終了後の残額については、一般贈与財産とみなして一般税率を適用すると見直された( 措法70の2の2 ⑰、 70の2の3 ⑭)。同改正は令和5年4月1日以後に取得する信託受益権等に係る贈与税に適用される(改正法附則51)。
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