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[全文公開] 指定寄附金の告示

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3月決算法人では法人税等の申告対応を進めていることだろう。法人が支出した寄附金は原則、一定額を超える部分について損金に算入できないが( 法法37 )、国や地方公共団体への寄附金のほか、指定寄附金に該当するものは、その全額を損金に算入できる( 法法37 ③)。

指定寄附金とは、広く一般に募集される寄附金であり、教育又は科学の振興、文化の向上等に寄与するための支出で緊急を要するものに充てられることが確実であるとして、財務大臣が指定するもの( 法法37 ③二)。

指定寄附金については“包括指定”と“個別指定”に大別できる。“包括指定”は財務大臣の職権により一般包括的に指定される。昭和40年大蔵省(現財務省)告示第154号を基本告示とし、学校教育関係や各都道府県共同募金会への寄附金などが該当する。一方、“個別指定”は募金団体である公益法人等の申請を参考に、その寄附金の使途や目標額等の諸事項を個別に審査したうえで財務大臣が指定する。昭和40年大蔵省告示第159号を改正する形で告示され、現在募集中のものでは2027年国際園芸博覧会の開催費用に対する寄附金などが該当する。

指定寄附金の申告に当たっては、別表十四(二)の「指定寄附金等に関する明細」に寄附先や告示番号等を記入する必要がある。指定寄附金に新設や期間の延長等があれば、財務省告示として官報で随時公表される。とはいえ、告示番号を逐一確認することは骨が折れる。3月と9月の決算法人向けの指定寄附金を集録した本誌の「指定寄附金一覧」も参考にしていただきたい( №37253750 等)。

なお、令和5年度税制改正では、社会で求められる人材の育成を促すべく、企業による大学等の設置への投資(寄附)を後押しするため、学校法人設立準備法人への寄附金は全額損金となる新たな枠組みが設けられた(令和5年3月31日財務省告示第96号)。