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[全文公開] 調書の提出義務と「帰責事由がない場合」

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国外財産調書制度では、同調書の提出がない場合や記載不十分の場合に、その国外財産に関する申告漏れに係る過少申告加算税等の加重措置がある(国送法6③)。ただ、一定の相続国外財産は加重措置の適用除外の取扱いがある。

同調書は、居住者がその年の12月31日時点で合計5,000万円を超える国外財産を有する場合、翌年の提出期限までに所轄税務署長に提出しなければならない。調書不提出等の場合で、その国外財産に係る所得税又は相続税の申告漏れがあったときは、加算税に5%が加重される。

この点、相続開始年分の国外財産調書については、相続国外財産を記載しないで提出することができるとともに、相続国外財産に係る所得の申告漏れがあったとしても、加算税の加重措置の適用はない(国送法5②、6④一)。

また、相続国外財産については、その存在を知り得ることが困難であると認められるなど、調書不提出又は記載がないことについて相続国外財産を有する者の帰責事由がない一定の場合には、加算税の加重措置の適用対象から除外される取扱いがある。ただし、調書不提出の場合で、相続国外財産以外に5,000万円超の国外財産を有する場合には、この取扱いは適用されない(国送法6③、国送通6-5)。

例えば、令和5年12月31日時点で有する国外財産が国外財産A(4,000万円)と相続国外財産B(6,000万円、令和5年に相続開始)である者が、令和5・6年分の国外財産調書を提出していない場合を想定する。Bの存在を知り得ることが困難だと認められ、その所得の存在も知らずBに係る所得の申告漏れがあった場合、令和5年分の同調書は、相続開始年のため、加算税の加重措置の適用はない。

令和6年分の同調書は、調書不提出について帰責事由がないため、加重措置の対象にならない。仮に、Aが5,000万円超の国外財産の場合、加重措置の適用除外の取扱いがなく、加重措置の対象となる。