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[全文公開] OI促進税制と取崩事由

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令和5年度改正で見直されたOI促進税制では、新規出資型に加え、スタートアップ企業の発行済株式を議決権の50%超取得した場合のM&A型が対象となった( 措法66の13№3762 )。株式を取得した対象法人は、株式の取得価額の25%以下の金額を特別勘定として経理した場合に所得控除を受けられるが、取崩事由に該当した場合は特別勘定を取り崩して益金算入する必要がある。

同税制の要件である株式保有見込期間は、新規出資型は3年超、M&A型は5年超( 措令39の24の2 ①)。新規出資型は、株式取得から3年以内に株式の売却や特別勘定の任意の取崩し、出資先のスタートアップ企業が解散した場合等には、取崩事由に該当し、対応した額を益金算入する必要がある( 措法66の13 ⑨~⑫)。ただし、対象法人がスタートアップ企業を吸収合併した場合は、益金算入は行わず、引き続き同税制を適用できる( 措法66の13 ⑪四)。

一方、M&A型については、まず、株式取得から5年以内に売上高や成長投資、研究開発に係る成長要件が設けられ、未達成の場合は5年後に全額を取り崩して益金算入しなければならない( 措法66の13 ⑩)。成長要件を達成しても、株式の売却や特別勘定の任意の取崩し、株式を取得したスタートアップ企業の解散等があった場合には、株式の保有期間にかかわらず、取崩事由に該当し、対応する額を益金算入する必要がある。新規出資型と異なり、対象法人がスタートアップ企業を吸収合併した場合も取崩事由に該当する( 措法66の13 ⑪四)。

なお、新規出資型では3年以内、M&A型では5年以内にスタートアップ企業が上場した場合でも、取得株式を継続保有し、オープンイノベーションの継続が確認できれば、継続保有証明書の交付を受けることができる。