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[全文公開] 通達改正とパブコメ

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国税庁が実施していた「『居住用の区分所有財産の評価について』の法令解釈通達(案)」のパブリック・コメント(パブコメ)が8月20日に終了した( №3763 )。

行政手続法は、国の行政機関等が命令等を定める場合、当該命令等の案に対して広く一般の意見を求めなければならないとする(同法39①)。このうち「命令等」とは、内閣又は行政機関が定める政省令や規則、審査基準、処分基準、行政指導指針をいう(同法2八)。

「命令等」に該当する場合はパブコメの実施が必要だが、同法には例外規定が定められている(同法39④)。例えば、税制改正法に係る政省令は「予算の定めるところにより金銭の給付決定を行うために必要となる当該金銭の額の算定の基礎となるべき金額」などを定める命令等に該当するため、パブコメの対象外だ(同法39④三)。税制改正法に係る国税庁の通達改正等も、「他の法令の制定又は改廃に伴い当然必要とされる」規定の整理等に当たるため同様の取扱いとなる(同法39④八等)。なお、同項各号に当たる場合は、命令等制定機関は当該命令等の公布と同時期に「実施しなかった旨及びその理由」等をe-Gov等のインターネット上で公示する必要がある(同法43⑤、45)。

冒頭の通達案は、いわゆる「タワマン節税」に対するマンション評価の見直しで、上記の例外規定に該当しないうえ、マンションという広く一般に影響する内容であることがパブコメ実施の主な理由だ。他にも、本年6月のインボイス制度に係る消費税法基本通達の改正案については、同制度への事業者の関心が高いため、税制適格SOにおける株価算定ルールについては、同SOの発行等において「不安定な税務実務となっている」との指摘を受けたため、それぞれパブコメを実施したという( №3755 )。