概要
<通達本文>
(1) 有価証券の譲渡損益の計上時期及び計算方法等
有価証券の譲渡をした場合には,原則として約定日(取引日)において,譲渡の時における有償によるその有価証券の譲渡により通常得べき対価の額から譲渡に係る原価の額を控除した金額を益金の額に,譲渡に係る原価の額から譲渡の時における有償によるその有価証券の譲渡により通常得べき対価の額を控除した金額を損金の額に算入する(法61の2①)。
また,有価証券の譲渡に係る原価の額を計算する場合におけるその一単位当たりの帳簿価額は,有価証券の区分ごとに,かつ,その銘柄を同じくするものごとに,移動平均法又は総平均法により算出する(令119の2①)。
(2) 有価証券の時価評価損益等
法人が事業年度終了の時に有する有価証券については,次の金額により評価を行い,その評価損益相当額を益金の額又は損金の額に算入する(139の2①)。
イ 売買目的有価証券については,時価法により評価した金額
ロ 売買目的外有価証券については,原価法により評価した金額。なお,償還期限及び償還金額の定めのあるもの(償還有価証券)については,帳簿価額と償還価額との差額の調整を行った後の金額
(3) 有価証券の空売り等に係る利益相当額又は損失相当額の益金又は損金算入等
法人が有価証券の空売り,信用取引,発行日取引又は有価証券の引受けを行った場合において,これらの取引のうち事業年度終了の時において決済されていないものがあるときは,その時にこれらの取引を決済したものとみなして計算した利益相当額又は損失相当額を,洗替方式により益金の額又は損金の額に算入する(令119の16①)。
(4) デリバティブ取引に係る利益相当額又は損失相当額の益金又は損金算入等
法人がデリバティブ取引を行った場合において,そのデリバティブ取引のうち事業年度終了の時において決済されていないものがあるときは,その時にそのデリバティブ取引を決済したものとみなして計算した利益相当額又は損失相当額を,洗替方式により益金の額又は損金の額に算入する(令120①)。
(5) 繰延ヘッジ処理及び時価ヘッジ処理
資産・負債の価額変動等による損失を減少させるために行ったデリバティブ取引等のうち一定の要件を満たすものについては,みなし決済による利益相当額又は損失相当額の計上を繰り延べる(いわゆる繰延ヘッジ処理)(法61の6①)。
また,売買目的外有価証券の価額変動による損失を減少させるために行ったデリバティブ取引等のうち一定の要件を満たすものについては,その売買目的外有価証券の時価と帳簿価額との差額のうちそのデリバティブ取引等の利益額又は損失額に対応する部分の金額を損金の額又は益金の額に算入する(いわゆる時価ヘッジ処理)(法61の7①)。
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