概要
<通達本文>
(1) 内国法人の各事業年度の所得金額のうちにその源泉が国外にある所得(国外所得金額)があり,これについて,その所得が発生した国で外国法人税を納付することとなる場合には,国際的な二重課税を排除する趣旨から,その国外所得金額に我が国の法人税率を乗じて計算した金額(控除限度額)の範囲において,その外国法人税額(控除対象外国法人税額)を法人税額から控除することができることになっている(法69①)。
これを「外国税額控除」といい,内国法人自らが納付する控除対象外国法人税額を外国税額控除の対象とするものを「外国税額の直接控除」と呼んでいる。
なお,控除対象外国法人税額とは,所得に対する負担が高率な部分の外国法人税の額,内国法人の通常行われる取引と認められない取引に基因して生じた所得に対して課される外国法人税の額,内国法人の法人税に関する法令の規定により法人税が課されないこととなる金額を課税標準として外国法人税に関する法令により課される外国法人税の額等を除いた金額とされている(令142の2)。
(2) また,平成21年度の税制改正前においては,内国法人が一定の要件を満たす「外国子会社」から剰余金の配当若しくは利益の配当又は剰余金の分配を受けた場合には,その外国子会社の所得に対して課せられる外国法人税額のうち,その配当等の額に対応するものとして計算した金額(高率負担部分を除く。)は,これをその内国法人が自ら納付する控除対象外国法人税額とみなして,外国税額控除の対象とすることができる「外国税額の間接控除制度」が導入されていたが,平成21年度の税制改正により,外国子会社配当益金不算入制度(法23の2)が導入されたことに伴いこの外国税額の間接控除は廃止されている。
その後,平成26年度の税制改正において,外国法人に対する課税原則について,いわゆる「総合主義」に基づく国内法が2010年改訂後のOECDモデル租税条約に沿った「帰属主義」へと見直されたことに伴って,内国法人の外国税額控除制度についても,その控除限度額の計算において,国外源泉所得の一つとして「国外事業所等帰属所得」が規定されている(141の3)。
(3) なお,軽課税国(いわゆるタックス・ヘイヴン)にある特定外国関係会社,対象外国関係会社及び部分対象外国関係会社の課税対象所得について親会社である内国法人が合算課税を受けるといった外国子会社合算税制が適用される場合には,その特定外国関係会社,対象外国関係会社及び部分対象外国関係会社に課された外国法人税額について,外国税額の間接控除に似た仕組みにより外国税額控除の対象にすることができることになっている(措法66の7)。
(4) 更に,我が国とブラジル等特定の国(発展途上国など)との租税条約において,その特定の国(源泉地国)で特別に減免された税金について,本来の課税がなされたものとみなして我が国で外国税額控除を認める旨の定めが置かれているものがある。これを「みなし外国税額控除(タックス・スペアリング・クレジット)」と呼んでいる。
(5) 法人が適格組織再編成により被合併法人等から事業の全部又は一部の移転を受けた場合には,当該法人の当該適格組織再編成の日の属する事業年度以後の各事業年度における繰越限度超過額及び繰越控除余裕額の計算(法69⑩)等,適格組織再編成が行われた場合の外国税額控除について所要の措置が講じられている。
(6) これらの外国税額控除制度の大まかな仕組みを図示すると次頁のとおりである。
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