時価に比して著しく低い価額で買い戻した株式を時価で売却した場合(2-1-5(5))
<問>
取引相場のない非上場株式の取得費並びに買戻し条件付譲渡についての質問です。
(事実関係)
甲法人は,債務超過で運転資金の調達も困難となったため,仕入先である乙法人(甲法人とは同族関係もなく全くの第三者である)に金融機関からの融資の連帯保証人となってもらい,再建に全面的に支援してもらうことになった。
その条件として甲法人の全株式(額面金額1,000万円)を所有している甲法人のA社長から発行済株式数の70%相当を乙法人に額面金額700万円で譲渡した。この取引による乙法人のメリットは,甲法人に継続して取引できるが,デメリットはリスクが高いことである。甲法人は会社の再建に成功したので,乙法人が所有する甲株式全株を当初A社長から乙法人に譲渡した額面金額700万円で平成29年中にA社長が買い戻した。買い戻したときの甲法人の純資産額は2億円となっている。
債務超過が解消されてからは,甲法人は1割配当を続けている。
A社長は買戻し直後に甲株式全株を丙法人(甲,乙ともに何ら関係のない第三者)に2億円で売却した。
乙法人とA社長の取引はこれ以外には一切ない。
(問1) A社長と乙法人は買戻しの条件について口頭でも書面でも全くふれていない。
乙法人は甲株式について譲受価額でA社長に売却することが当然と考えていたものと思われる。
甲法人は乙法人に毎期決算報告をしており,乙法人は甲法人の財務内容も熟知していた。
この事案の場合,A社長は乙法人から株式の低額譲受けをしたものとして純資産(2億円×70%=)1億4千万円-買戻し代金700万円=13,300万円を贈与とみなされ,一時所得課税(13,300万円-50万円)×1/2=6,625万円が所得税の課税標準となりますか。
また,乙法人は13,300万円が寄附金課税とされるでしょうか。
(問2) A社長に前述の一時所得課税となった場合のA社長の株式の譲渡所得の金額は2億円-(300万円+1億4千万円)=5,700万円でしょうか,2億円-1,000万円=19,000万円でしょうか。
もし,後者とすると所得税の二重課税になるため,前者の課税となると思いますがいかがでしょうか。
(問3) 甲法人の土地等保有割合 建物・土地3,000万円/総資産の時価5億円は6%であり,措置法第32条(短期譲渡所得の課税の特例)に該当せず,また他に特殊な課税はないと考えていますが,いかがでしょうか。
(問4) 本件は,株式の買戻し特約の書面がありません。当該書面があれば一時所得及び寄附金課税はないと思いますが,どうでしょうか。 A社長として法人は暗黙のなかでは当該特約していたものと推定できます。
当該書面を作成するか,また他によい方法がありましたら,是非ご教示ください。
問1及び問2
その株式等は,通常の取引価額として………
- 「改訂第五版 専門家のための資産税実例回答集」のご購入はこちら
全文をご覧になりたい方は、下記ボタンからご購入をお願いいたします。
「改訂第五版 専門家のための資産税実例回答集」では、本事例だけでなく資産税に関する様々な事例もご覧いただけます。