組織内会計士に聞く! 第13回 監査する立場から経営の当事者へ

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株式会社アスカネット 常務取締役CFO 功野 顕也

◆これまでの略歴と組織内会計士になられた経緯を教えて頂けますか。

大学在籍中に公認会計士試験の2次試験に合格し,東京の監査法人に4年勤務しました。その後,地元広島に戻って別の監査法人で2年勤めさせて頂き,当時の担当クライアントであったアスカネットに転職しました。公認会計士として色々な会社の数字をチェックする監査も魅力的でしたが,当事者としてIPOや経営に携わりたいという気持ちがより強かったためです。社長の人柄や会社のビジョンに魅かれた部分もあります。

当時は,ベンチャー事業会社に転職する人は少なかった時代です。ですが,例え上手くいかなくても,失敗が評価されて,何か職はあるだろうと楽観的に考えていました。

◆入社されてからこれまでのお仕事内容について教えて下さい。

入社した当時は,IPOにむけた準備を始めた段階でしたので,管理部門の責任者として,社内体制の整備を進めていきました。同時に,証券会社や監査法人との折衝や,資本政策の実行にも携わりました。また,人事や総務といったこれまであまり経験していない分野も試行錯誤しながら整備していきました。紆余曲折ありましたが,入社してから6年後の2005年に上場することができました。

当初は経理の現場にも出ていたのですが,現在では少しは現場をかじりながらも,基本的に現場は部門責任者に任せて,IRも含め管理部門全般を管掌する立場になっています。また,新規事業にも携わっています。

◆公認会計士資格は企業の中でどのように活かされていますか?

当たり前ですが,現在の業務に会計士の資格は必要ありませんが,以下の点で会計士資格が役立ったと感じています。

まずは,監査法人時代の経験です。さまざまな規模,さまざまな業種の会社と監査業務などで接することができ,会社の仕組みや数字の作り方や分析の仕方,またマネジメントの方々との交流など,得るものは非常に大きかったです。

それと,会計のスペシャリストとしての体系的な知識です。実務では様々なことが発生しますし,それに対応するすべての情報や知識を持ち合わせることは不可能です。ただし,この事象では,このポイントがリスクだとか,この法令や規則に照らせる必要があるとか,このような方々に相談すべきだとか,的を射た感覚が発揮できたと自負しています。

また,上場を準備していた時期や上場したば...