ちょっと役立つワインの小話 第11回 別名をもつブドウ品種のお話
日本ソムリエ協会 ワインエキスパート/ワイン検定講師 佐久間 裕輝(米国CPA)
今回はブドウ品種には国や地域によって別名があるというお話をします。
ワインの世界ではこの別名のことをシノニムといいます。シノニムとは同意語・別名を示す単語であり,ITの世界でも使われている単語です。
ブドウ品種の別名で最も有名なのが,「シラー」と「シラーズ」でしょうか。昔私もシラーは知っていたのですが,シラーズという品種があると聞いたとき,「何?ブドウ品種にどうして複数形があるの?」と質問したことがあり,今考えるととても恥ずかしくなります。
シラー(Syrah)はフランスのローヌ北部が代表的でありで比較的タンニンの強い品種であり,有名なワインではエルミタージュやコート・ロティなどがあります。一方,同じ品種でもシラーズ(Syrahz)は,オーストラリアにおける同一品種であり,シラーと比較すると,気候の違いもあり更に力強さを感じます。
シラーと共にシノニムという点で有名な品種が,「ミュスカデ」と「ムロン・ド・ブルゴーニュ」です。ミュスカデは主にフランスのロワール地方で栽培されていますが,地域によっては「ムロン・ド・ブルゴーニュ」と呼ばれます。これは,ミュスカデが同じくフランスのブルゴーニュ地方から...
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