Q&Aコーナー 気になる論点(137) IASB概念フレームワークの公開草案(3)

―資本の区分と測定―

早稲田大学大学院 会計研究科教授 秋葉 賢一

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国際会計基準審議会(IASB)が,2015年5月28日に公表した公開草案(ED)「財務報告に関する概念フレームワーク」(コメント期限:2015年10月26日)では,負債と資本の区別に関し,2人のIASBボードメンバーが反対しています。それは,なぜなのでしょうか。

2人のIASBボードメンバーは,現行の概念フレームワークにおける負債の定義をほとんど変えずにEDを提案することに反対しています。現行の定義による区分では,これに沿っていないIFRSが開発されており,適切な概念が欠如しているとしています。IASBでは,負債と資本の区別に関する問題は,資本の特徴を有する金融商品(FICE)プロジェクトで扱う方向ですが,反対している2人のIASBボードメンバーは,基準レベルのプロジェクトで進めることにも反対しています。

<解説>

EDの提案(1)‐資本の定義

IASBの現行の概念フレームワーク4.4項(c)において,資本(equity)は,企業のすべての負債を控除した後の資産に対する残余持分(residual interest)と定義しています。

2013年7月公表のディスカッション・ペーパー(DP)「財務報...