厳選!現場からの緊急相談Q&A 第15回 有価証券(株式)の発生の認識

有限責任監査法人トーマツ 公認会計士 上田 恵嗣

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経理部員 :決算日前後で複数種類の株式を取得することになりそうなのですが,基本的に約定日(契約日)に株式の発生を認識すれば問題ないでしょうか?
会計士 :株式をはじめとする有価証券の取得は,約定日にその発生を認識する,とのイメージを持たれている方々が多くいらっしゃるかもしれません。確かに,上場株式を取得する時は,いわゆる約定日基準に従い,約定日に取得した株式の発生を認識するケースが多いと思いますが,会計基準で定められている金融資産の発生の認識の原則的な取扱いはそのようにはなっておらず,約定日基準は一定の条件が満たされた場合のみに適用される認識基準とされています。実際の会計処理は,金融商品の種類や特性,売買の約定日(契約日)から有価証券そのものの受渡日までの期間などを踏まえて判断することになりますが,具体的な設例として,グループ会社再編などで実施されることがある上場株式を対象とした相対取引での取得のケース(Q1),非上場株式の取得のケース(Q2)について,発生の認識についての考え方を整理してみましょう。

有価証券(株式)の発生の認識に関する設例

約定日から受渡日までの期間「通常の期間」に該当する「...