中国子会社の見える化 第3回 会計の関連情報
有限責任あずさ監査法人 公認会計士 増田 進
公認会計士 紫垣 昌利
米国公認会計士 中村 祥子
「中国子会社の見える化」に向けて,前回( No.3225 )は会社の全体像を把握するためのポイントを整理しました。次は,会社の中身を見るための情報を扱います。まずは会計関連の情報です。
中国では資本主義国で採用されているものと同一の「複式簿記」を前提にした会計制度が導入されています。会計の関連情報として必要な主な資料は以下の通りです。
各項目のポイントを確認する前に,前提となる中国の制度体系(会計法と会計基準)を確認しておきます。
1.中国の会計関連制度
(1)会計法
中国の会計期間や帳簿体系,経理担当者などは何に規定されているのでしょうか。中国には「会計法」(主席令第24号)という中国企業会計制度の基本法があります。これに会計行為,会計資料,経理組織,会計担当者,監督機関等について規定されています。
例えば,「会計年度」は会計基準に規定されているわけではなく,会計法において新暦1月1日から12月31日までと規定されており(同第11条),中国では2月決算や3月決算は基本的にありません。
「帳簿」の種類は,総勘定元帳,補助元帳等を準備すべきことが規定されています(同第15条)。会社は財務諸表,財務諸表注記...
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