シリーズ「学生と語る会計基準」 西川教授のポイントレッスン! 第2回 公正価値測定vs.取得原価測定

慶應義塾大学商学部 教授 西川郁生

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木村太一君 本日は公正価値測定と取得原価測定について見解を伺うことになります。まず確認ですが,資産負債の測定方法はこの2つだけでなく,もっとずっと多様ですね。2つだけを取上げるのは,測定に関する部分的な議論になりませんか?

教授 そうならないように,ここでは公正価値測定を現在価額を代表するものとしておきましょう。取得原価は現在価額とは言えないですから,現在価額に属するものと,そうでないものを比較するという意識を持って話しましょう。

木村君 前回( No.3224 )の資産負債アプローチの冒頭で,IASBは,IFRSが時価会計志向であることを否定しているという話がありました。

教授 基本的に時価会計にどんどんシフトすることへの不安は多くの国で根強いと思います。したがってIASB議長は時価会計志向を否定して回る必要があるわけです。

木村君 前回は,構成要素の定義が,資産負債の定義から始まるとしても,その定義が資産負債の測定を決定づけるわけではないということでした。定義と測定の間に認識がありますが,認識と測定の関係はどうなりますか?

教授認識して測定するという概念的な順番はそれでいいですね。有形の資産などを考えると...