いまさらきけない会計基準と実務のポイント 第3回 連結税効果‐未実現利益消去に係る税効果

新日本有限責任監査法人 公認会計士 西村 強

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1.はじめに

いまさらきけない会計基準等と実務のポイント第3回は「連結税効果」。なかでも「未実現利益消去に係る税効果」を取り上げます。

さて,平成27年3月31日に平成27年度税制改正法案が成立し,平成27年4月1日以後開始する事業年度より税率の変更がありました。これを受けて平成27年3月期決算において,税効果計算上,改正後の税率を反映して法定実効税率を算定し,繰延税金資産・繰延税金負債を計上したことは記憶に新しいと思います。

この点,連結税効果上も,個別財務諸表における税効果と同様に,改正後の法定実効税率を用いて繰延税金資産・繰延税金負債を計上しました。ただし,「未実現利益消去に係る税効果」のみは,税率変更を法定実効税率に反映してはならなかった点が,平成27年3月期決算の留意事項の1つでした。

ここで,いまさらきけない疑問です。「未実現利益消去に係る税効果」のみ特別な取扱いをしたのは,いったいなぜか。今回は,この連結税効果に関して,会計処理とその計算の背景を解説していきたいと思います。

「いまさらきけない」ポイント・税率の変更⇒税効果計算上,法定実効税率の計算に反映した。・「未実現利益消去に係...