「事業活動の性質」と純損益/包括利益

‐概念フレームワークの中心的課題として‐

駒澤大学 教授 石川純治

( 24頁)

現代会計がかかえる問題を見ていると,現代的文脈のもとで,古典的な論点が垣間見えることがある。古典が顧みられない今日,古典の眼を通して見ると,現代会計の諸問題がまた別の形で見えてくる 。プロフェッションがかかえる現代的課題を古典から読み解くのもアカデミズムの1つの役割であり,またその力が発揮されるところといえる。

以下,プロフェッション(Ⅰ)とアカデミズム(Ⅱ)のそれぞれの役割,とりわけ両者の対比を意識しながら論を進めてみたい。

Ⅰ ASBJからの意見発信‐プロフェッション

ASBJからの意見発信‐改訂概念フレームワークへの予備的見解

わが国の会計基準設定機関(ASBJ)のIASBへの意見発信,とりわけ改訂概念フレームワークに対する意見発信が活発化している。昨年,ASBJは「修正国際基準(JMIS)」の公開草案(2014年7月)を公表したが,重要な点はエンドースメントの拠り所とされる「会計基準に係る基本的な考え方」であり,それが何であるかである

ASBJの2つのペーパー,すなわちアジェンダ・ペーパー「純損益/その他の包括利益及び測定」(ASBJ[2013])及びショート・ペーパ‐・シリーズ第1...