リース取引の会計実務,税務実務とIFRS導入の影響 第3回 売買処理の実務ポイント及び会計税務処理の異同
監査法人トーマツ 井上雅彦
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本連載では,わが国の現行会計実務及び税務実務を振り返りながら,そのポイントや特徴を確認していく。また,「IFRSリース改訂基準案」で明らかになった方向性を踏まえ,日本の現行実務に及ぼす影響を検討する。
第3回は,売買処理の実務ポイント及び,会計上,税務上の処理の異同を取り扱う。文中意見にわたる部分は個人の見解であり,所属する法人の見解とは関係がないことを申し添える。
売買処理のポイント
解約不能及びフルペイアウトの判定によりファイナンス・リース取引と判定されれば,借手は売買処理を行い,リース物件を割賦購入するのと同様に資産計上し減価償却を行う。また,リース債務を負債計上し,利息相当額を各期に支払利息として期間配分する。以下で,ファイナンス・リース取引に係る借手の主たる処理を取り上げその考え方を示す。
(1)リース資産及びリース債務の計上価額
売買処理されるファイナンス・リース取引では,リース開始時にリース資産及びリース債務の計上価額を算定する。
具体的には,図表1に示す方法でリース資産及びリース債務を計上する。所有権移転外ファイナンス・リース取引では,貸手の購入価額等(「等」は借手に対する販売価額...
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