特別誌上座談会 持株会社の経理実務
経済産業省が本年公表した調査によると,2013年度末現在の純粋持株会社数は451社。持株会社(HD)体制に移行した3社で経理に携わる方に,HD化の経緯と現状,経理部門の変遷,連結納税,事業会社との役割分担,シェアード・サービス,経営管理・予算,資金管理,人材育成等について語って頂いた。HD体制の会社のみならず,経理や経営管理に携わる方々に役立つ"実務のポイント"がここにある!
HD化した経緯と現状
司会・飯塚氏 司会を務めさせて頂きます公認会計士の飯塚幸子と申します。
経済産業省が本年2月に公表した純粋持株会社実態調査の結果 ① によると,2013年度末現在における純粋持株会社数は451社とのことです。保有する機能は,①経営戦略策定・推進(全体に占める割合78.3%),②経営理念・ビジョン(同76.8%),③業務監査(同75.3%)など,グループ・ガバナンスが中心です。
これらの点も踏まえ,皆さんの会社で,HD化された経緯と目指したこと,それから現状についてお聞かせ頂ければと思います。
サッポロホールディングス(以下「サッポロ」)・三箇氏 弊社でHD化したのは2003年7月で,比較的早めだったのかなと思っています。HD化の当初の目的としては,「①スピード経営の実現,②戦略的アライアンスの強化,③グループ価値の向上,④金融負債水準の適正化,⑤透明性の向上」という5つの目的を挙げておりました。当初目指したことと現状については,さほど差がないという認識です。
現在のサッポロHDの機能は大きく4つありまして,1つ目が株主対応と決算開示も含めた上場維持機能。2つ目が事業会社の支援機能,3つ目が成長戦略推進機能でM&Aや海外進出に向けた支援,4つ目がグループの横断的な研究開発を推進するグループR&D企画機能です。HDは,グループマネジメントに特化した体制を作っています。
当社グループには,事業セグメントとしてビール,国際,食品・飲料,外食,不動産の5つの事業部門がありますが,特にビール事業と不動産事業の資産規模が大きいのが特徴的です。この2つの事業は,投資に対しての回収(収益)...
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