「事業活動の性質」と資産分類/測定基礎‐伝統枠からの論点‐

駒澤大学 教授 石川純治

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本稿は,本誌掲載の拙稿「 純損益,包括利益,OCIの論点 」(2015年2月2日号)および「『 事業活動の性質』と純損益/包括利益 」(2015年10月19日号)の続編である。今回は,伝統的な会計枠組みからASBJの議論をみてみたい。

ASBJからの意見発信

わが国の会計基準設定機関(ASBJ)のIASBに対する意見発信が活発化しているが,2015年に入っても「会計基準の設定における『企業の事業活動の性質』の役割」(ASBJ[2015a])および「測定基礎の識別,記述及び分類」(ASBJ[2015b])が公表された。そこにはIASBの概念フレームワーク見直しに対する予備的な見解とはいえ重要な論点がでている。石川[2015c]では,前者のペーパー,特にそこでの「企業の事業活動の性質」を中心に,筆者の問題意識を交えて議論した。

企業の「事業活動の性質」の相違をどう捉えるかは,その相違が資産分類とそれを受けた測定基礎の相違へとつながるだけに,きわめて重要といえる。そこで,まずもってASBJでの議論とは少し別の観点から,すなわち「企業会計原則」を中核に置く伝統的な会計枠組みでは,異なる事業活動の性質をどのよ...