会社法改正により責任限定契約の対象が見直された。責任限定契約とは，定款で定めることにより，会社に対する責任（損害賠償額）をあらかじめ限定する契約を締結できるようにするもの（会社法427①）。同契約の対象は，会社法改正前は社外取締役・社外監査役に限定されていたが，改正後は全ての非業務執行取締役や監査役等が適用対象となった。

適用範囲の拡大には，会社法改正によって社外取締役等の要件が厳格化され，改正前に要件を満たした者が，改正後に要件を満たさなくなることが背景にある。適用要件を満たさなくなった社外取締役等を取締役等として確保するため，従前通りの契約を締結できるように対応が図られた。例えば，日立製作所...