Q&Aコーナー 気になる論点(157) IASBのリース会計基準(7)

‐セール&リースバック取引‐

早稲田大学大学院 会計研究科教授 秋葉 賢一

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国際会計基準審議会(IASB)が,2016年1月に公表したIFRS第16号「リース」において,売手/借手は,セール&リースバック取引を売却処理することになるのでしょうか。

A:

IFRS第16号では,セール&リースバック取引におけるセール取引(資産の移転)が,IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」の要求基準を満たす場合には,売却処理としています。ただし,利得・損失は,買手/貸手に移転した使用権資産の簿価の比例部分だけを認識します。

<解説>

セール&リースバック取引の処理(1)‐IAS第17号

現行のIAS第17号「リース」において,セール&リースバック取引は,リースバック取引が,ファイナンス・リース(FL)になるかオペレーティング・リース(OL)であるかにより,売手/借手(seller/lessee)は,以下の会計処理を行います。

リースバック取引売手/借手の会計処理FLの場合売却代金が簿価を超える額を収益として即時に認識せず,繰り延べてリース期間にわたって取り崩す。OLの場合当該取引が公正価値に基づいていることが明らかな場合即時に損益を認識する。売却価額が公正価値以下である場合即時に損...