ハーフタイム 金利の経済学

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企業会計では,利息は資金の借り手が払うべきコスト(支払利息),貸し手にとっては収益(受取利息)である。ところが,国は投資家から借金することによって,3月末までに累計550億円の「超過収入」を得たという。日銀が始めた大量国債買い入れによる異次元金融緩和,さらには国債需要増・価格上昇によるマイナス金利の効果だ。マネタリストの多い日銀は,デフレもインフレと同様に貨幣現象とみて,物価を2%上げる目標を達成するために金利引き下げに躍起となってきたが,ついにマイナス金利となった。そこで,ケインズの『一般理論』を紐解き,マイナス金利は資本主義で想定される現象かどうか考えた。その第13,14章では,古典派経済学の利子論を整理し,自分の有効需要論を展開している。

利子率はモノの値段と同様,市場において需要される資本の総需要と資本の供給総額に一致する均衡利子率に向かって行く傾向があるという説がある。これは貨幣数量説となり,日銀は国債や一流企業の社債を買い入れて,市場に出回る貨幣を増やし金利を下げてきた。それだけでは所期の目的を達成できず,額面以上で債券を買うことでマイナス金利を実現している。この点についてケ...