グループ会計の論点シリーズNo.2 M&A会計の特徴と変化

~持分プ―リング法から支配取得法へ~

フジタ国際会計コンサルティング(株) 代表 藤田敬司

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はじめに

前回のシリーズNo.1( 本誌No.3259参照 )では企業グループの構成要素を,特定会計基準の対象となる連結対象会社群と,それ以外の契約によって結ばれる会社群に分けて,洗い出してみた。グループの中核は,いうまでもなく連結対象会社群であり,その中でもとくに重要なのは,「支配」で結ばれている親会社(parent)と子会社(subsidiaries)である。

「支配」が何であるかについてはIFRS10(連結財表)には詳細な説明があるが,いきなり出来上がった「支配」概念だけを学んでも,平板で薄っぺらな理解に終わる怖れがある。やや回り道をするようだが,企業結合会計以前の様子を少しでも知ることによって,「支配」の何たるかが良く分かるように思われる。今回は,21世紀に入ってから急速に進歩したM&A会計やわが国の会社法改正を振り返りながら,「支配」概念強化の軌跡を辿る。行き着く先は"対等合併と持分プ―リング法の否定"であった。

「支配」概念からみたM&A取引の特徴

経営統合(business combination)とは"一方の企業が他方の企業の支配を取得する取引"と定義されるように,「支配」(con...