リース取引の会計実務,税務実務とIFRS導入の影響 第12回 IFRS 第16号の主要論点 中編

有限責任監査法人トーマツ  井上雅彦

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本連載では,わが国の現行会計実務及び税務実務を振り返りながら,そのポイントや特徴を確認し,また,IFRS第16号「リース」で明らかになった方向性を踏まえ,日本の現行実務に及ぼす影響を検討してきた。

第12回は,IFRS第16号「リース」(以下,IFRS16)の主要論点第2回(中編)を取り扱う。文中意見にわたる部分は個人の見解で,所属する法人の見解とは関係がない。

借手の会計処理~当初認識と事後測定

1.会計処理(借手)の基本的な考え方

契約がリースの定義に当てはまり,IFRS16の適用範囲に含まれる場合,借手は,リース開始日に使用権資産とリース負債をオンバランス処理する。ただし,図表1に示すとおり,「短期リース」または「少額リース」に該当する場合(免除規定に該当する場合)は,使用権資産とリース負債をオンバランスする必要はなく,リース期間にわたりリース料を計上する処理,つまり,従来のオペレーティング・リースと同様の処理が可能となる。この場合,会計方針として当該処理を選択することになる。

図表1 オンバランス処理へのフローと2つの免除規定

IFRS16における「使用権モデル」では,リース期間にわたり資...